ネーブルジャパンは松阪市の有志が出資、創設した地域商社です。松阪市内にある魅力的な技術や商品を発掘し、広める活動を行っています。
豪商の街として栄えた松阪の人々は商売に対する意欲が高く、そこに活気のあるイノベーターが数名いらっしゃいます。「この素晴らしい地域を活性化したい」と代表の濱岡正己さんは熱く語ってくださいました。
銀行出身の濱岡さん曰く、バブル崩壊後、地方銀行が未来のためにベンチャーへ投資する働きは弱い状態が続いているそうです。その中で、将来性のある技術や商品に資金を供給する新たな仕組みをつくることが、地域商社の役割であり使命だ、と濱岡さんは感じています。そのため、日本の将来にとってプラスになるような企業や人をさまざまな方法でサポートしているのです。
松阪から世界へ
人々を感動させる2つの技術
ネーブルジャパンには、その信念を表す象徴的な技術が2つあります。
ひとつは、横濱近平さんが手がける木のスピーカーです。木でつくられたスピーカーは、音がとても柔らかく全方位に届くのが特徴。また、一般的なものは低音から高音まで音波がフラットになっているのに対し、自然の音波に近い2つの波を描く波形のため心地よく聴きやすいそうです。ネーブルジャパンが中心となりこの素晴らしい技術と商品の認知を拡大し、2021年10月に開業したホテル「ザ ロイヤルパークキャンパス 札幌大通り」の全客室に導入されました。
もうひとつは、岩宮陽子さんの超越技術。紙に塗ると固くなる超越液を使用した技術です。自然界に戻る素材を使用してガラスコーティングと同じような効果を発揮するため、サステナブルなプラスチックの代替品を開発する上で有効ではないか、と話題になっています。岩宮さんの会社は過去に経営が行き詰まったことがあり、技術は素晴らしいもののなかなか世に広がっていかない状態でした。それがネーブルジャパンと出会ったことで、新会社を設立するまでに至ったのです。さらに、東京大学の教授との出会いで、アメリカの学会誌の巻頭論文として表紙を飾る快挙も成し遂げました。
世界でもここにしかない
希少な健康酒
ネーブルジャパンの人気商品、「ハナビラタケ純米仕込み」。ハナビラタケという希少なキノコを日本酒に漬け込んだ健康酒です。
ハナビラタケを製造するのは松阪市飯高町にある明日香洞窟農園。全長約800mの広大な洞窟でさまざまなキノコを栽培しています。はるか昔は海底だった洞窟の岩盤はミネラルが非常に豊富で、カルシウムやマグネシウムを含んだ水が常に湧いています。またキノコの栽培に適した気温と湿度が1年中保たれていて、全国でも有数のハナビラタケの生産農園となっています。
同業者からもお墨付きをもらうほど高品質の明日香洞窟農園のハナビラタケ。それを老舗の酒蔵寒紅梅酒造の日本酒に漬け込んだ健康酒は、美容や健康に良く味も美味しい、と話題を呼んでいます。
他にも、世界を魅了するような技術や商品が隠れている松阪。ただ、「売れればいい」というビジネスは意味がありません。ネーブルジャパンは、つくる人々の想いや願いに寄り添い、長期的に社会に貢献できるようなものに育てていく。そんな信念を持ち、松阪から世界へ魅力的なものを発信し続けていきます。