麺も生きている – 大矢知手延べ麺(四日市市)

昭和から続く伝統製法。愛され続ける大矢知麺の魅力

四日市の大矢知地区は、日本有数の麺作りの地として有名です。
こしの強さとなめらかさが特徴の麺は、家族の団欒や手土産など多くの場面で愛されています。

今回はそんな大矢知麺の魅力をお届けします。

多くの人に愛される大矢知麺

大矢知麺の歴史

大矢知地区で麺作りが始ったのは、昭和30年頃のこと。地区のほとんどの人が農業に従事しており、冬の農作業がない時期に素麺を作りだしたのが始まりです。

時は地区中で麺作りが行われ、その数は300軒にも上りました。

時代とともに製麺所は減少しましたが、今でも十数軒の製麺所が伝統を守りながら麺作りを続けています。

美味しい麺をつくり出す大矢知の気候

大矢知麺の特徴は、こしの強さとなめらかさ。

三重県内はもちろんのこと県外でも評判で、「一度食べたら忘れられない」と多くの人を虜にしています。

そんな美味しさの秘密の一つは、大矢知地区の気候にありました。地元を流れる朝明川はミネラルをたっぷり含み、鈴鹿山脈から吹き下ろす冷たい鈴鹿おろしは麺を乾燥させるのにぴったり。

この地区で麺作りが栄えたのも頷けます。

伝統製法の難しさと魅力を話す渡邉さん

伝統を守ることが、愛される秘訣

美味しさのもう一つの秘密は、今も守られる伝統製法です。

「麺は生き物。やり方を変えると味も変わってしまう。」

そう話してくれたのは、渡辺手延製麺所の渡邉さん。

大矢知地区の製麺所は、小麦粉の仕入れ先によって3グループに分かれます。渡辺手延製麺所はその中で、6軒が加入する金魚印グループに属する昔ながらの製麺所です。

ひとつひとつの作業を人の手で丁寧に行う

渡辺手延製麺所の伝統製法は、非常に手の込んだもの。まず粉と水を混ぜたものを棒状にし、段階を踏んで徐々に細くしていきます。乾燥にも段階があり、90分ほど乾かしたあと一晩置いておき、そこから本乾燥に入ります。その工程はほとんどが手作業で、繊細な技術が必要です。

しかし、少しでも製造方法を変えると味が崩れてしまうのだとか。面倒臭いことは多いけれど、初心に帰って手抜きをせず、先代からの教えをきちんと守っていく。

渡邊さんたちのその想いが、大矢知麺が長く愛される一番の秘訣なのです。


朝明川の伏流水と鈴鹿山脈から吹き降ろす寒風「鈴鹿おろし」によって生まれる大矢知手延べ麺。200年以上の伝統を守り、いまでは四日市の地場産品として定着。多くの人に親しまれています。 一方で、最盛期 昭和30年ごろには300軒を超えた製麺農家も、今では十数軒ほどに。 その中でも渡辺手延製麺所は、小麦粉の仕入れ先によって3グループに分かれる製麺所の中で、6軒が加盟する金魚印グループに属しています。 渡邉さんは「麺も生きている。手間暇かけて丁寧に」を心がけ、創業者である父の教えから、一本一本手作りで、失敗も重ねながら、いまの味を確立しています。

[配信日]2021年3月2日
[企業名]渡辺手延製麺所
[出演]代表取締役 渡邊茂 他

基本情報
住所三重県四日市市川北1-13-9
電話番号059-366-3522
公式サイトhttp://www.pcs.ne.jp/~otm/

※情報は取材時のものであり、変更の場合があります。

動画リンク先
YouTubehttps://youtu.be/WS8pSC6qRHE