《三重の魅力ピックアップ》
創業200年、伝統を守りながら今を生きる豆腐田楽
古くから芸能文化が栄えていた伊賀市。
能楽を見るときに食べる、ハレの日の食べものとして有名になったのが豆腐田楽です。
”田楽座 わかや”は、そんな伊賀名物である豆腐田楽の名店。
創業は1829年、現店主の吉増浩志さんは11代目にあたります。

「伝統は守るのではなく、流動的なもの」と話す吉増さん。
先祖代々伝わる伝統的な製法を守りながら、若い人でも「美味しい!」と感動するような味を目指し、常に研鑽を重ねています。
効率が悪いから、美味しい。代々伝わる伝統製法。
田楽座 わかやの豆腐と味噌は、豆腐田楽のために考えられた独自製法のもの。三重県産で糖度の高い”フクユタカ”という大豆を使い、気の遠くなるような手間をかけてつくられています。
潰した大豆を絞るときは、本当にいいところだけを絞るよう、強く力をいれずにやさしく絞る。固めるときは、時間をかけてしっかりと水を抜く。
こうして出来あがった豆腐は、串で刺しても崩れないしっかりとした弾力がありながら、炭火で焼くとふわっと柔らかく戻ります。

伝統を守ることが、愛される秘訣
味噌は、雑菌が1番少ない大寒のときに仕込み、3年間寝かします。年月をかけることで、麹菌がしっかりとしたコクとまろやかさを醸し出すからです。
しかし、3年間寝かすには塩分を強くしなければならず、塩を増やすと発酵は遅くなる。そのため吉増さんは、毎日味噌のかめを手作業でかき混ぜています。

このような大変な作業も「あまり違和感はなく、苦にならないです」と吉増さんは話します。
吉増家には”味噌の蔵の前を通るときは必ずかき混ぜよ”という家訓があります。吉増さんは幼い頃から、その家訓と、「混ぜれば混ぜるほど美味しくなる」という祖母の言葉に触れて育ちました。
吉増さんにとって、味噌のかめを混ぜるのは幼い頃からの日常。そのように、親から子へ、子から孫へ、田楽座 わかやの伝統は紡がれてきました。
伊賀に対する恩返し。自分にしかできない伝統の繋ぎ方
豆腐田楽一筋の吉増さんも、若い頃は家を継ぐ気はなく、音楽の道に進んでいました。しかし夢半ばで行き詰まり、思い出したのは子供の頃に見た店先の祖母の姿。お客様の方を見て田楽を焼く祖母の姿は、とてもカッコ良かったのです。
今は田楽の焼き場をステージに変え、その中で”自分にしかつくれないもの”を日々探究しています。それは、インターネットが普及したこの時代にオンラインでは絶対に買えないもの。
伊賀の土地にお店と家族を育てていただいた、その恩を伊賀に返すためにも、豆腐田楽を未来へ残していくことが使命だ、と吉増さんは感じているそうです。

そのために、家族から受け継いだ伝統を守り、時代に合わせた工夫を重ね、自分にしかできない豆腐田楽をつくり続けています。
創業1829年。伊賀名物「豆腐でんがく」をつくり続ける老舗の名店。地元の有機栽培で獲れた大豆「フクユタカ」と天然にがり、約1000日熟成させた香ばしくまろやかな味噌、低温でじっくり焼き上げる炭に至るまで、独自の製法で伝統の味を守り続けています。長年愛され続ける理由は、頑なに伝統を守り続けるのではなく、常に最先端を目指す探求心にあります。「家業だけど、区間賞を獲りたい」と語る11代目吉増浩志さん。伊賀の誇りであり、文化でもある「豆腐でんがく」を未来永劫存続させるために、さらなる高みを目指しています。
[配信日]2020年3月19日[企業名]田楽座 わかや
[出演]11代目 吉増浩志 他
基本情報 | |
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住所 | 〒518-0878 三重県伊賀市上野西大手町3591 |
電話番号 | 059-521-4068 |
公式サイト | https://www.igaportal.co.jp/store/1649 |
※情報は取材時のものであり、変更の場合があります。
動画リンク先 | |
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YouTube | https://youtu.be/XydKGtEXTqc |